新古美術 朝比奈

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Collections作品紹介

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蜘蛛の巣がき

作家名 尾張国美濃路起宿本陣十一代目 加藤磯足
手法 紙本・墨
寸法 本紙32.3×47.6㎝、総丈103.5×52.0㎝
備考 ・サイン「磯足」
【作品解説】
蛛=虫になぞらえて64(むし)種の和歌を蜘蛛の巣様に書いたものである。
真ん中の「蛛」字を中心に8本の線が出る。
「蛛」の字を歌の始めの語とする4首、そして「蛛」の字を歌の最後の語とする4首の歌が外から中心へと書かれている。
その8本の線に糸を掛けるように、残りの56首の歌が渦を巻きつつ外側から中心へと書かれている。
時には蜘蛛を擬人化しつつ、自然と人事を蜘蛛の語或いは「ささがに(蜘蛛の古語)」をキーワードとしつつ詠み出している。
一宮市指定文化財「蜘蛛の巣がき 加藤磯足筆」と類似作品である。
【蜘蛛の巣部分読み※一部】
蛛(ささがに)のちち(千々)の、いともてぬきて、だにはかなくきゆる、つゆのしらたま
【左側読み】
「江戸のなにがしとかいふ人のかかるさまによめりしを、或人のもたりけるを見ていともをさなけなるたはわざながら、秋の夜の長きすさびにゆくりなくよみまねびつ、 色もなき、千々の言葉をいたつらに掛けては恥ずかしささがにの糸 磯足」
※このような形で歌を詠む事は、江戸の国学者の間で行われていた事が伺い知れる。
製作年 江戸時代
状態 綺麗な状態です。
付属品
略歴 【加藤磯足 (1747~1809)】
享年63歳。尾張国中島郡、木曽川のほとりにある起宿(愛知県尾西市起)の人。
家は本陣を営む。本姓、藤原。通称、梅之助、右衛門七、号は河の辺の翁など。
父は右衛門七敏光。本陣11代を相続。細井平洲に儒学を学び、村政改革にも力を尽くす
また田中道麿に国学を学び、寛政元年(1789)に松坂を来訪し本居宣長に入門。
寛政5年(1793)4月15日には近江から名古屋に行く途次の宣長を自邸に宿泊させ夜歌会を開く。
師没後は春庭に師事する。
著作には、宣長の墓に参拝した時の『時雨の日記』、師道麿の略伝『しのぶ草』などがある。
また「蜘蛛の図詠」を得意とした。

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